ゲームファームや、 Eryod Softのアプリ、 フランスのヘロン社が作っているタロットカードに封入された説明書を参考にしました。 このページではMathJaxを利用しているので、JavaScriptを有効にしてご覧ください。
フランスで遊ばれているタロットカードのトリックテイキングゲームです。
フランスは早くからイタリアのタロットのゲームが伝わったのですが、 一時は衰えて、いくつかの地域で細々と生き残るのみでした。 しかし、世界大戦後、再び盛んになり、今や最もタロットのゲームが盛んな国になっているようです。
アプリにもなっているので、有名な遊び方なのでしょう。 色々なバリエーションがあるようですが、ここではEryod Softのアプリでのルールを元にします。 イタリアやオーストリアのルールに慣れている人にとっては、不思議に感じる点があるかもしれませんが、 シンプルなポイントテイク(カードの点数を集めるトリックテイキングゲーム)です。
普通は4人で遊びます。3人、5人で遊ぶこともできますが、 その場合のルールはあとにまとめます。 プレイはすべて反時計回りに進行します。
使うカードは、タロットカード78枚です。 イタリア系のカードとはランクの順番が違うので改めてカードの構成を説明します。
78枚のうち、21枚は切札のカードです。 21から1までの数字がふってあり、数字の大きいほうが強いです。 普通はカードの四隅に大きく算用数字が書かれていますが、ここでは切札はローマ数字で表すことにします。 すなわち、強いものから順に、XXI XX …… II Iです。 Iのことはプチ(Petit)と呼ばれることがあります。
56枚のカードは、♠♥♦♣ の4つのスートに分かれています。 それぞれのスートのカードを強いものから順に並べると、 K Q C J 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 です。イタリア系の遊び方とは違って、すべてのスートにおいて、10が強いです。 なお、フランスのカードには、K Q C Jではなく、 R D C Vと書いてあります(アプリでもこの表記になっています)。
残る1枚のカードは星印が書いてあるカードで、エクスキュースと呼ばれます。 すなわち愚者Oのカードです。ここではOと表します。
それぞれのカードには点数があります。 プレイではこれをたくさん集めることが目的になります。 イタリアなどの遊び方とは違って、点数の修正はありません。
XXI |
K | Q | C | J | その他 |
---|---|---|---|---|---|
4.5点 | 4.5点 | 3.5点 | 2.5点 | 1.5点 | 0.5点 |
点数のある、XXI I Oの3枚のカードは ウドレ(Oudler)と呼びます。
すべての点数の合計は91点です。
このゲームの流れは以下のようになっています。
ビッドで決まったデクレアラーは、他の3人を敵に回して、目標よりもたくさんの点数を取ることを目指します。 目標の点数は、デクレアラーがプレイでとったウドレ(XXI I O)の枚数によって変わり、 次のようになっています。この目標点数には、とったウドレの点数も含めます。
とった |
3枚 | 2枚 | 1枚 | 0枚 |
---|---|---|---|---|
目標点数 | 36点 | 41点 | 51点 | 56点 |
例えば、デクレアラーがIとOをプレイでとって、XXIを取ることができなかった場合、 IとOの9点とは別に、さらに32点取らなければプレイに成功できません。
最初のディーラーは任意に決めます。次からは反時計回りの順で交代します。
ディーラーは、以下の順番でカードを配ります。 途中でテーブルの中央にもカードを配ります。 このカードは、ドッグ(dog, chien)と呼ばれます。
正確には、この配り方である必要はなく、 「全員に3枚ずつ6回配る」「ドッグには1枚ずつ配り、最初のカードや最後のカードを配ってはならない」 の2点さえクリアしていれば、どのように配っても構いません。
配られた手札を見て、切札のIを配られて、他の切り札やOを1枚も配られなかったプレイヤーは、 これを宣言して、配り直しを要求することができます。 この時、ディーラーは交代します。
カードが配られたらビッドを行います。 ビッドでデクレアラーを決めて、その人1人と他の3人(ディフェンダー) でトリックテイキングゲームのプレイを通して カードの点数の取り合いをすることになります。
ビッドでは、次に説明する4種類のゲームのうち、どれか1つを宣言するか、パスの宣言をします。 一度パスの宣言をしたら、そのビッドに再び参加することはできません。 また、誰かがビッドをした場合、それ以降は今までのビッドよりも強いビッドしか宣言することができません。 最終的に、(何かしらのビッドをした)1人を除いた他の全員がパスをした場合、 パスをしていない人をデクレアラーとしてプレイが始まります。 もし、全員がパスをしたならば、ディーラーを変えてカードを配り直します。
ビッドの種類は弱いものから順に次のようになっています。
ビッドを終え、スモールやガードのビッドでデクレアラーが決まった場合はカードの交換を行います。 カードの交換をするに際して、まず最初にドッグの6枚を全員に見えるように表向きにします。 そして、そのカードを手札に加えた後、デクレアラーは6枚の捨て札をします(make aside)。 捨て札には以下の制限があります。
ガード・ウィズアウトや、ガード・アゲインストでデクレアラーになった場合は、 ドッグには一切触れず、次に示す宣言を行い、プレイに移ります。
カードの交換が行われたら、各プレイヤーは次の宣言ができます。 宣言の順序は自由です。
プレイで全トリック勝つという予告です。 予告をしてすべてのトリック取ることができれば400GPのボーナスですが、 失敗すると200GPのマイナスになります。 なお、予告なしで成功させても200GPのボーナスを得ることができます。 (GPはゲームポイントの略で、プレイの結果得ることができる点数を、 カードの点数と区別するために用いています)
手札にある切札の枚数に応じて、宣言することができます。 この時に限り、Oは切札の枚数に数えます。 手札にある切札の枚数に応じて、以下の3種類があります。
枚数 | 点数 |
---|---|
10枚切札 |
20GP |
13枚切札 |
30GP |
15枚切札 |
40GP |
この点数は、誰が手役を宣言したかに関わらず、プレイに成功した側が得点します。 すなわち、手役を宣言してプレイを成功させると得点が増えますが、 手役を宣言したのにも関わらず、プレイに失敗すると、失点が増えます。
手役を宣言した場合、宣言した枚数の切り札を順序良く並べてみんなに見せますが、 プレイが始まる前には手札に戻します。 なお、手札にOがあるけれども、宣言した枚数以上の切札がある場合は、Oは見せません。
宣言が終わればプレイが始まります。
トリックテイキングゲームの原則に従ってプレイをします。 オープニングリードはディーラーの右隣からですが、 スラムの予告があった場合は、その人からオープニングリードを行います。
フォローの規則は少しばかり特殊です。 二言でまとめるならば次のようになります。
もっと正確にいえば、次のようになります。
Oは特殊なカードです。 Oは先に挙げたフォローの規則を全て無視していつでも出すことができます。 もし、リードにOが出た場合は、その次の人は好きにカードを出すことができ、 その人が出したカードがリードされたものとして扱います。
Oは、トリックに勝つことができない最弱のカードです。 しかし、そのトリックに勝った人はOを取ることができません。 Oは出した人が獲得し、代わりにOを出した人は自分の獲得したカードから 0.5点のカード1枚をトリックに勝った人に渡します。 自分が渡すカードを持っていなければ、渡すカードが手に入ったタイミングで交換することができます。
ただし、最後のトリックでOを出した場合は、そのような交換が行われず、 トリックに勝った人がOを含めて獲得します。
最後のトリックにIを出して勝った場合、10点のボーナスを得ます。
逆に、最後のトリックにIを出して、出した本人がそのトリックに勝てなかった場合、 (ディフェンダーのうちの1人がIを出して 別のディフェンダーがそのトリックをとった場合も含みます)、 10点のペナルティーになります。
この点数は、ゲームの種類により倍率がかかります。
まず、デクレアラーがプレイに成功したかを判定します。 デクレアラーがとるべき目標の点数は以下です。
とった |
3枚 | 2枚 | 1枚 | 0枚 |
---|---|---|---|---|
目標点数 | 36点 | 41点 | 51点 | 56点 |
カードの点数は以下です。
XXI |
K | Q | C | J | その他 |
---|---|---|---|---|---|
4.5点 | 4.5点 | 3.5点 | 2.5点 | 1.5点 | 0.5点 |
デクレアラーはとったカードの点数を計算して、目標以上の点数を取ることができているか確認します。 目標以上取っていれば成功、目標未満の点数しか取れていなければ失敗です。
次の計算式で基本点$N$を求めます。
これによって求めた$N$を使って、最終的な得点は以下のようになります。
全員のGPの合計は、常に0になります。
ゲームの終了のタイミングは特に決まっていません。プレイヤーで話し合って決めてください。
清算する場合は、マイナスのGPが支払う点数になり、 プラスのGPが受け取る点数になります。
1人あたりに配る枚数は24枚です。 ドッグは6枚で変わりありません。
手役は次のようになります。
枚数 | 点数 |
---|---|
13枚切札 |
20GP |
15枚切札 |
30GP |
18枚切札 |
40GP |
目標の点数も変わりません。 とったカードの点数に端数が発生することがありますが、 目標に0.5点でも足りなかったらプレイに失敗したことになります。
得点計算で、$S$(目標点数ととった点数の差)を求めるときに端数が出た場合、 デクレアラーがプレイに成功した場合はそれを切り上げ、 失敗した場合はそれを切り下げます。
ディフェンダー側の得失点は、$\pm N$GPで計算されることは変わりませんが、 デクレアラーの得失点は$\mp 2N$GPで計算されます。 それ以外は4人プレイと変わりません。
手札は15枚、ドッグは3枚になります。 したがって、デクレアラーがドッグのカードを手札に加えて捨て札をするとき、 6枚ではなく3枚を捨てます。
手役は次の通りです。
枚数 | 点数 |
---|---|
10枚切札 |
20GP |
13枚切札 |
30GP |
15枚切札 |
40GP |
5人で遊ぶ時は、デクレアラー1人が他4人を敵に回して戦うのではなく、 デクレアラーはKを使ってパートナーを指名します。
デクレアラーは、ドッグのカードを手札に加える前に、いずれかのスートのKのカードを宣言します。 そして、宣言したKを持っていた人は、デクレアラーとパートナーになります デクレアラーとパートナーは2人で合わせて目標の点数を取るようにプレイをします。 このとき、パートナーは指定されたKをプレイするまで、自分がパートナーであることを知らせてはいけません。
デクレアラーが4枚のKを配られていた場合は、Qを使ってパートナーを指名します。 もし、パートナーとして指名したK(またはQ)がドッグにあったならば、 デクレアラー1人で戦うことになります。
最初のトリックは、パートナーを指定したK以外のカードのスートでリードをしてはいけません。 しかし、パートナーに指定されたKでリードすることは許されます。
とるカードの点数の目標は変わりません。 2人合わせて、目標に0.5点でも届かなかったら、 デクレアラー側が負けとなるのも同じです。 得点計算で、$S$(目標点数ととった点数の差)を求めるときに端数が出た場合、 デクレアラーがプレイに成功した場合はそれを切り上げ、 失敗した場合はそれを切り下げるのも同じです。
得失点は、デクレアラー側の成功/失敗に応じて、 デクレアラーは$2N$GP、パートナーは$N$GP、 ディフェンダーはそれぞれ$N$GPを得点したり失点したりします。 もしパートナーを指名したカードがドッグにあって、1人で戦った場合、 デクレアラーの得失点は$4N$GPで計算されます。
ミーゼルという手役を採用することがあります。 ミーゼルには2種類あります。
ドッグに切札やK Q C Jなどがあった場合は、 デクレアラーはミーゼルを宣言することができません。
ミーゼルを採用する場合は、基本点$N$を以下の式で求めます。
$Ma$はデクレアラーのミーゼル、$Md$はディフェンダーのミーゼルによる点数です。
ビッドにポーストいうビッドを加えることがあります。 プレイはスモールやガードと変わらず、 得点の倍率が1.5倍になります($C=1.5$)。