リトアニアの、特にユルバスカス(Jurbarkas)という街ででプレイされている トリックテイキングゲームです。 カードを配った結果によって2種類のプレイがあったり、 手札の切り札の枚数をビッドするという独特のビッドがあったりと、 特徴的な点が多いゲームです。
4人で遊びます。向かい合った2人はパートナーになります。
使うカードは通常のトランプから2〜6を除いた32枚です。
カードの点数は次のようになっています。 全ての点数の合計は120点で、プレイの目標は61点以上の点数を集めることです。
A | 10 | K | Q | J | 9 8 7 |
---|---|---|---|---|---|
11 | 10 | 4 | 3 | 2 | 0 |
このゲームには切札がありますが、 どのスートのカードが切札になったとしても常にQとJの8枚は切札になります。 QとJは、カードにマークで書かれている、本来のスートを離れ、 本来のスートではなく切札のスートのカードとして扱われます。
切札でないスートでは、カードのランクは強いものから順に A 10 K 9 8 7 となります。
切札の強さは、強いものから順に、 ♣Q 7 ♠Q ♥Q ♦Q ♣J ♠J ♥J ♦J A 10 K 9 8 です。 スートが明示されてないカードは、切札のスートのカードです。
例えば、♦が切札になったとします。 この時、ランクとスートは次のようになります。
強← →弱 | ||
---|---|---|
切札 | ♣Q ♦7 ♠Q ♥Q ♦Q ♣J ♠J ♥J ♦J ♦A ♦10 ♦K ♦9 ♦8 | |
他 | ♣ | ♣A ♣10 ♣K ♣9 ♣8 ♣7 |
♠ | ♠A ♠10 ♠K ♠9 ♠8 ♠7 | |
♥ | ♥A ♥10 ♥K ♥9 ♥8 ♥7 |
ゲームの流れは次のようになっています。
最初のディーラーは誰がなっても構いません。 次のディールからは時計回りに交代します。
ディーラーは全員に4枚ずつ2回配ります。 配るときに、各プレイヤーの4枚目のカードと8枚目のカードについては表向きに配ります。 ただし、ディーラー自身とそのパートナーに配る4枚目、8枚目のカードは、 ディーラーだけが表を見て、それが7だったら表向きに、それ以外の場合は裏向きに配ります。
こうして32枚のカードを配り切ったときに、7が表になったかならなかったかでプレイの種類が変わります。
表になった7を配られた人がデクレアラーになります。 複数の7が表向きになった場合は、最後に表向きに7を配られた人がデクレアラーです。
切札はその表向きになった7のスートです。
デクレアラーのペアに敵対するペアのことをディフェンダーと呼ぶことにします。
プレイの前に、デクレアラーかそのパートナーは、全トリック取ることを宣言することができます。 この宣言をすると、得失点が倍になります。 この宣言はテーブルを叩くことで行います。
全トリック取る宣言があった場合、ディフェンダーのうちの1人はテーブルを叩いて、 得失点をさらに倍にすることができます。 すなわちダブルをかけることができます。
全トリックを取る宣言があった場合、ディフェンダー側が1トリックでも取るとプレイが終わります。
デクレアラーのオープニングリードから始めて、 トリックテイキングゲームのプレイを行います。
プレイは普通のマストフォローのトリックテイキングゲームに従いますが、 1トリック目と2トリック目のリードは必ず切札でしなければなりません。 もし、2トリック目のリードをするときに、手札に切札が無かった場合は、どのカードを出しても構いませんが、 後の人は切札を持っているならば切札を出します。リードで出されたスートをフォローする必要はありません。 言い換えると、2トリック目は切札でフォローしなければなりません。
もし、2トリック目のリードに、切札でないカードを出すときは、そのカードを裏向きで出すことができます。 裏向きで出した場合、2トリック目のプレイが終わった後にそのカードを表向きにします。
3トリック目からはこのような制限はありません。 普通のマストフォローのトリックテイキングゲームに従います。
8トリックのプレイが終わったら、得点をつけます。 得点はラム(Ram)と呼ばれる○印で表します。 ラムがある方が負けていることを表します。 相手にラムを書くときに、自分にラムがあるのであれば、 相手にラムをつける代わりに自分のラムをばつ印で消してゆき、 全て消えてから相手にラムをつけることができます。
つけるラムの個数は、次のようになっています。 まず、基本点を求めます。 基本点はカードを配ったときに、表向きになった7の枚数です。
デクレアラーが | 自分に |
相手に |
---|---|---|
61点以上 | 基本点の |
|
60点以下 | 基本点の |
ビッドをしてデクレアラーを決めます。 ビッドをするのは、どれかのスートを切り札にしたときに、 自分の手札にある切札の枚数です。
例えば、自分の手札が ♣Q ♠J ♦J ♣10 ♣8 ♣7 ♥K ♦10 だったとします。 このときに、♣を切札にしたら、 ♣Q ♠J ♦J ♣10 ♣8 ♣7 の6枚が、 ♠を切札にしたら ♣Q ♠J ♦J の3枚が、 ♥を切札にしたら ♣Q ♠J ♦J ♥K の4枚が、 ♦を切札にしたら ♣Q ♠J ♦J ♦10 の4枚が切札として手札にあることになります。 ですから、この手札の時にビッドできる数字は、 6、4、3のいずれかになります。 なお、最大のものをビッドする必要はありません。
ビッドは、ディーラーの左隣から時計回りに1巡だけ行います。 ビッドの順番になったら、ビッドをするかパスをするかします。 一度ビッドがあったら、それよりも大きい数しかビッドできません。
一番最後にビッドした人(最も大きい数字をビッドした人)がデクレアラーになります。 もし、全員がパスした場合は、ディーラーを変えて配り直します。
7が表になった場合は、全トリックとる宣言などはありません。 デクレアラーが決まったらすぐに、デクレアラーのオープニングリードから トリックテイキングゲームのプレイを始めます。
プレイの規則は7が表になった時と同じです。 すなわち、最初の2トリックは切札をリードしなければなりません。 2トリック目のリードに切札が出せなかった場合でも、切札でフォローしなければならない点も同じです。
デクレアラーは最初のトリックをリードするときに、 必ず切札をリードしますが、このときには必ずビッドした枚数に適合するスートをリードします。 例えば、先に挙げた例で、6のビッドでデクレアラーになったならば、 ♣Q ♠J ♦J ♣10 ♣8 ♣7 のなかのどれかからリードをしなければなりません。 もしQやJをリードしたならば、どのスートを切札にしたか宣言します。
デクレアラーは、プレイ中いつでもプレイを終了させる宣言ができます。 終了宣言でプレイが終わった場合、プレイされずに手札に残ったカードの点数は誰のものにもなりません。
プレイが終わったら、得点をつけます。 この場合は、ピップ(Pip)と呼ばれる数字で得点をつけます。 ピップはゲーム中累計されます。 また、ピップは少ないほど優秀です(ただし少ないほど有利とは限りません)。
デクレアラー |
〜 |
60 |
30 |
0 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
ディフェンダー |
〜 |
30 |
0 | 無関係 | ||
デクレアラー |
なし | +2 | +4 | +6 | ||
ディフェンダー |
+1 | +2 | +3 | なし |
ゲームは、どちらかのピップが12以上になったときに終了します。 勝敗は次のように決めます、