プリファランス
Preference

CareleSmithひとみ
作成 補足

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ロシアでプレイされているトリックテイキングゲームです。 オーストリアでもプレイされていますが、ロシアで非常に盛んにプレイされており、 約200年間にわたってロシアの知識層のナショナルゲームとしてプレイされてきたそうです。

ルールには様々なバリエーションがあり、ここで示すのはそのうちの一つでしかありません。 このゲームは、得点の計算方法が独特で複雑なところに特徴があります。

遊ぶ人数と使うカード

4人で遊びますが、ディーラーはプレイに参加しません。 ディーラーはプレイに参加しないので、得失点もありません。 従ってディーラーがプレイに参加することにすれば、3人で遊ぶことも可能です。 このゲームでは決まったパートナーはありませんが、 ビッドで決まったデクレアラーに、他の2人が協力して戦います。

カードは通常の52枚のトランプから6から2を除いた32枚を使い、 カードのランクは、7 8 9 10 J Q K Aの順で強くなります。

ディール

最初のディーラーはカットをして強いカードを引いた人がなります。 カットとは、カードの束を2つに分けて、上の方になった束の一番下のカードのランクを比べることです。 同じランクを引いた時はカットし直しです。 以降のディールでは、ディーラーは時計回りに交代しますが、 ビッドによっては交代しない場合もあります。このことについては後で詳しく述べます。

ディーラーは左隣から順番に2枚ずつ5回配ります。手札は10枚になります。 4人でやる時は、ディーラーは参加しないので、自分にはカードを配らないことに注意してください。 残った2枚は中央に配ります。これはタロン(talon)と呼びます。

ビッド

ビッドから始めます。 ビッドではとるトリック数と切札を宣言します。ノートランプの宣言はできません。 宣言できるトリック数は、10から6までと、ミーゼルがあります。 ミーゼルは切札なしで1トリックも取らないというビッドです。 ビッドの強さは以下の通りです。

また、ディーラーの左隣のプレイヤーは、自分の手札を見る前ならブラインドのビッドができます。 これは、ビッドの強さとしては6と同じですが、 ブラインドに対しては7以上のビッドしかすることができません。 ブラインドに対してのオーバービッド(せり上げ)があれば、以降は通常どおりビッドを行います。

ディーラーの左隣のプレイヤーからビッドを始めます。ビッドは時計回りに進めます。 最初にビッドするプレイヤーはどのビッドを宣言しても構いませんが、一度ビッドをされるとそれより強いビッドをする必要があります。 ビッドをしたくないときはパスをします。一度パスをするとビッドに参加できなくなります。

もし3人全員がパスをした場合、ラスパシ(raspasy)のプレイとなります。 誰1人がビッドしている時に2人がパスをしたら、最後にビッドしたプレイヤーがデクレアラーとなります。

デクレアラーは、次に述べる手札の交換をした後、ビッドより強いコントラクトに変えることができます。

ミーゼル以外のビッド成立した場合

手札の交換

ビッドの後、デクレアラーはタロンの2枚を表向きにし、全員に見せてから手札に加えます。 その後、いらない手札を2枚裏向きに捨てます。

コントラクトの宣言

手札を交換したあと、デクレアラーは改めてプレイするコントラクトを決めます。 ビッドしたものと同じか、より強いコントラクトにしかすることができません。 コントラクトの強さは、ビッドの強さと同じ順です。 なお、コントラクトではノートランプのコントラクトをすることができます。 ノートランプのコントラクトは、同じトリック数のコントラクトのうち、最も強いコントラクトとなります。 6, 7, 8のビッドでデクレアラーになった場合は、ミーゼルのコントラクトにすることができます。

パスの宣言

コントラクトが決まると、ディフェンダー(デクレアラーではない2人)は、パスの宣言が出来ます。 パスの宣言は、デクレアラーの左隣から順に、プレイかパスかを選ぶことによって行われます。 プレイの宣言をした人だが実際のプレイを行って、パスの宣言をした人はプレイを行いません。 2人ともがパスをした場合は、実際のプレイを行わずデクレアラーが勝ちとなります。 どちらか1人でもプレイの宣言をしたら実際のプレイが行われますが、 プレイの宣言をした人と、パスをした人とでは得点が違ってきます。

1人がプレイの宣言をし、もう1人がパスをした場合、1人でプレイすることとなりますが、 このプレイする1人のことをガバナー(governor)と言います。 ガバナーは、パートナー(パスの宣言をした人)の手札を、全員が見えるようにさらすことを選択できます。 しかし、この選択はガバナーが最初のカードをプレイするまでに決めなければなりません。 パートナーと話し合って決めることができますが、最終決定権はガバナーにあります。

プレイ

ディーラーの左隣の人がオープニングリードをします。 リードは自由にできます。リードのカードのスートがあればフォローしなければなりません。 もしリードのスートのカードを持っていないならば、必ず切札を出します。 切札も持っていない時や、ノートランプである時はどのカードを出しても構いません。

コントラクトが、10のコントラクト(スラム slam)の時は、 全員が、最初のトリックのリードの前に手札を公開します。 ディフェンダーは相談しながらプレイをすることができます。

ミーゼルのビッドが成立した時

手札の交換

ビッドのあとに手札を交換するのは通常のプレイと同じですが、 手札をタロンと交換する時にタロンのカードに加えて、デクレアラーの手札も公開します。 公開されたカードについて、メモを取っても構いません。

しかし、タロンのカードを加えてから、2枚捨て札をするときはそのカードが何かわからないように捨てます。 したがって、デクレアラーの手札が何であるかを、ディフェンダーは正確に知ることができません。

捨て札の前に手札を公開する以外、通常のプレイと同じようにプレイします。 ただし、ミーゼルのプレイの後はディーラーは交代しません。

ラスパシのプレイの時

すなわち、ビッドで全員がパスをした時。

目的

ラスパシのプレイとなった場合は、切札なしでなるべくトリックを取らないようにすることが目的となります。

プレイ

ビッドで全員がパスをすると、手札の交換などは行わず、すぐにプレイが始まります。

オープニングリードはディーラーの左隣が行います。リードのスートはフォローしなければなりません。 この時タロンの1枚を表にして、それと同じスートをリードします。 第1トリックに勝った人は第2トリックのリードを行うわけですが、 第2トリックのリードを行う前に、残ったタロンのカードを表向きにして、そのスートと同じスートをリードします。 いずれの場合も、リードすべきスートをもっていなかったら自由にリードをします。 第3トリック以降は自由にリードをします。

ラスパシのプレイの後も、ディーラーは変わりません。

得点

プリファランスは得点システムが非常に複雑で独特です。 まず、得点システムについて説明してから、得点のつけ方について説明します。

得点システム

スコアボード

正方形の紙を使います。 中心に円を描き、さらに正方形を対角線で区切って4つの部分に分けます。 分けられた4つの部分がそれぞれの人を表します。正方形の各辺に名前を書きます。 また、対角線で区切られた個人の部分は三角形になっていますが、 その三角形の部分は2本の平行線で3つの部分に分けて、さらに下の部分は横に3つに区切ります。

スコアボード
スコアボード

縦方向に3つに区切られた領域を上から順に、ホール(hole)プール(pool)サイド(side)と呼びます。 真ん中の丸はターゲットスコア(target score)です。 いずれの欄も、累計点をコンマで区切って記入します。 「2,6,11」といった具合です。

次に、それぞれの欄の説明です。

ターゲットスコア $T$
あらかじめ10の倍数を書き込んでおきます。10, 20, 30のいずれかを書き込めば良いでしょう。 全員のプールがターゲットスコアに達するとゲームが終了します。
ホール $H$
コントラクト失敗のときのペナルティーです。
プール $P$
コントラクト成功のときの得点です。
サイド $S_{L}, S_{C}, S_{R}$
ホールやプール以外のボーナスやペナルティーです。 あるプレイヤーが他のプレイヤーに支払うべき点数として発生します。 サイドは3カ所に分けて書きますが、左から順に、左側のプレイヤー、対面のプレイヤー、右側のプレイヤーから、 それぞれ受け取る点数を表します。 ここでは左から順に$S_{L}, S_{C}, S_{R}$としています。 また、他のプレイヤーの、自分に対応するサイド(ここでは$S_{1}, S_{2}, S_{3}$としています)に書かれている点数は 自分が支払う点数です。

最終得点

最終的な得点は次のようにして算出します。

まず、サイドの得点を算出します。 受け取るサイドの総和から、支払うサイドの総和を引いたものです。 \[ \begin{align*} S &= \sum ( \text{受け取り} ) - \sum ( \text{支払い} ) \\ &= ( S_{L} + S_{C} + S_{R} ) - ( S_{1} + S_{2} + S_{3} ) \end{align*} \]

次に、ホールのペナルティを計算します。 全員のホールの平均を10倍して、そこから自分のホールの10倍を引いたものがペナルティです。 端数は切り捨てます。 \[ H_{P} = \lceil \overline{10H} - 10H \rceil \]

ホールはペナルティーなので、サイドの得点からホールのペナルティを引くと最終得点$M$になります。 \[ M = S - H_{P} \] 全員の最終得点の合計は0になるはずです。 ただし、ホールを計算するときに切り捨てた端数によって、合計が-1や-2になることもあります。

アメリカの援助

最終得点の計算の仕方を見ればわかる通り、プールの点数は直接最終得点に反映されません。 ただし、コントラクトの達成という大きな点数が最終得点に関係しないわけがありません。 プールの点数について、次のような規則があり、これをアメリカの援助と言います。

プールの点数の最大値はターゲットスコアの値です。 自分がプールに得点してターゲットスコアの値を超えた場合、もしくはすでにターゲットスコアに達している場合、 超過分のプールの点数は、自分のプールではなく、 ターゲットスコア未達成のプレイヤーのプールに加算します。 さらに、プールに点数を与えたプレイヤーは、自分のスコアシートの、 点数を与えた人に対応するサイドに、与えたプールの点数の10倍を加算します。 つまり、記入したプールの10倍の点数を、そのプレイヤーからもらいます。

プールに点数を与える場合、複数人に分割して与えても構いません。 この場合は、プールに点数を与えた全員から点数をもらいます。 すなわち自分のサイドで、対応するプレイヤーの欄に、それぞれ与えた点数の10倍を加算します。

このルールにより、プールの点数はおおよそ10倍の価値を持つこととなると考えられます。 相手から点数を奪われることを防ぐためにも、多くプールに得点するべきです。

得点

ラスパシ以外のコントラクトの時

それぞれのコントラクトに、ゲームバリューパートナー最低トリック数プレイヤー最低トリック数が設定されています。 (パートナー最低トリック数とプレイヤー最低トリック数は、9, 10, ミーゼルのコントラクトには設定されてません)

パートナー最低トリック数は、ディフェンダー2人が合わせて取るべきトリック数のノルマです。 また、プレイヤー最低トリック数は、パートナー最低トリック数が達成できなかった場合、 ディフェンダーの各プレイヤーが個人で取るべきトリック数のノルマです。 最低トリック数に達成すればボーナスがありますが、失敗するとペナルティがあります。

コントラクト678910ミーゼル
ゲームバリュー24681010
パートナー最低トリック数421なし
プレイヤー最低トリック数211

得点は次のようにつけます。まず、コントラクトの成否による得点。

コントラクトに成功した場合は、デクレアラーのプールにゲームバリューが得点されます。 この時、アメリカの援助のルールが適用されます。 失敗した場合は、コントラクトに不足したトリック数(ミーゼルの場合はとったトリック数)にゲームバリューをかけたものを デクレアラーのホールに加算します。 さらに、他のプレイヤーの、デクレアラーに対応するサイドにこれと同じ値を加算します。 (4人プレイの時はディーラーのサイドには書き込みません) デクレアラーが他のプレイヤーに支払う点数となります。 この、サイドに加算することをコンソレーションと言います。

次に最低トリック数によるボーナスとペナルティです。 これは最低トリック数のあるコントラクトでのみ有効です。

まず、パートナー最低トリック数をディフェンダーが達成した場合、ディフェンダーの2人は、 それぞれ自分のとったトリック数にゲームバリューをかけたものを、デクレアラーからもらうサイドに加算します。 つまり自分のサイドで、デクレアラーに対応する欄に加算します。 これは、コントラクトが失敗だった場合はコンソレーションと重複します。

パートナー最低トリック数を達成できなかった場合、ディフェンダーのうち、 プレイに参加した人数によって得点のつけかたが変わります。 まず、1人だけがプレイに参加した場合、 その人はパートナー最低トリック数に不足しているトリック数にゲームバリューをかけたものを、 自分がデクレアラーに支払うサイド(デクレアラーのサイドのうち、自分に対応するサイド)に加算します。 2人が参加した場合はプレイヤー最低トリック数が問題になります。

プレイヤー最低トリック数を達成できたプレイヤーはプレイヤー最低トリック数にゲームバリューをかけたものを、 ディーラーが自分に支払うサイド(自分のサイドのうち、デクレアラーに対応するサイド)に加算します。 プレイヤー最低トリック数を達成でなかったプレイヤーはプレイヤー最低トリック数に不足したトリック数にゲームバリューをかけたものを、 自分がデクレアラーに支払うサイド(デクレアラーのサイドのうち、自分に対応するサイド)に加算します。

ラスパシの時

1トリックとるにつき、1点をホールに加算します。 ラスパシが2回連続で起きると1トリックとるにつき2点をホールに加算することになります。 同様に、3回連続のラスパシになると1トリックにつき3点を、 4回連続のラスパシになると1トリックにつき4点をホールに加算します。 連続でラスパシが起きると、ホールに加算される点数はどんどん大きくなりますが、 これは連続で起きた場合のみの話で、連続でなければ加算される点数が大きくなることはありません。

まとめ

とったトリック数を$G$として、得点のつけ方を計算式を使ってまとめます。

スコアボード
スコアボード
ゲームバリュー
コントラクト $C$678910ミーゼル
ゲームバリュー $V$24681010
パートナー最低トリック数 $L_{2}$421なし
プレイヤー最低トリック数 $L_{1}$211
得点
ラスパシの時 全員 連続$n$回目のラスパシ $H$に$n \times G$を加算
ラスパシでない時 デクレアラー コントラクトに 成功 $P$に$V$を加算
失敗 $( C - G ) \times V$を$H, S_{1}, S_{3}$に加算
ディフェンダー(くるみを例にとる) パートナー最低トリック数を 達成 $S_{1}$に$G \times V$を加算
失敗 プレイに参加したディフェンダー 1人 $S_{L}$に$(L_{1} - G) \times V$を加算
2人 プレイヤー最低トリック数を 成功 $S_{1}$に$L_{2} \times V$を加算
失敗 $S_{L}$に$(L_{2} - G) \times V$を加算

ラスパシの時は全員のホールにのみ点数があり、 ラスパシでない時はデクレアラーのホール、プール、サイド、 他のプレイヤーがデクレアラーに支払うサイド以外には点数がありません。 いずれにせよディーラーは何も点数はもらえません。

最終得点$M$は、 \[ \begin{align*} M &= S - H_{P} \\ S &= \sum ( \text{受け取り} ) - \sum ( \text{支払い} ) \\ &= ( S_{L} + S_{C} + S_{R} ) - ( S_{1} + S_{2} + S_{3} ) \\ H_{P} &= \lceil \overline{10H} - 10H \rceil \end{align*} \]

ゲーム

先述のように、全員のプールがターゲットスコアに達したらゲーム終了です。 最終得点が高いものから順位がつきます。

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